大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(行ケ)182号 判決

請求の原因記載の事実はすべて当事者間に争いがなく、右事実によれば、本件発明の支持体10(第二引用例記載の発明の部材24)に軸駒14(第二引用例記載の発明の自在軸受け23)を軸線に沿い移動不能にする阻止部を設けることは当業者が第二引用例に基づいて当然実施しうる程度の設計上の事項であるということはできず、しかも本件発明は支持体10に右構成の阻止部15・17を設けることにより、この構成を設けていない第二引用例記載の発明においては奏することのできない顕著な作用効果、すなわちルーパー軸19の上下動時と揺動時の摺動摩擦による作用力が、軸駒14をその軸線方向へ移動させることなく、かつ軸線を傾けることがないから、ルーパー軸19のルーパー18が針と出会う時期と位置が正確になつて、常に安定した縫い目を高速度で形成することができて、縫製能率が向上し被縫物の品質が向上するという作用効果を奏するものであるから、本件発明と第一引用例記載の装置との相違点(ロ)について、軸駒を軸線に沿い移動不能にするように阻止部を設けることを当業者が当然のこととして実施しうる設計上の事項であり、第二引用例に記載された技術事項から当業者が必要に応じて容易に実施しうるものであるとした審決の判断は誤りといわなければならない。

してみれば、右判断を前提として、本件発明は第一引用例及び第二引用例に記載された技術事項から当業者が必要に応じて容易に発明をすることができたものとした審決は違法として取消を免れない。

よつて、審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求は正当として認容する。

〔編註その一〕 本件における請求原因は左のとおりである。

1 特許庁における手続の経緯

原告は、名称を「ミシンのルーパー機構」とする特許第八一九八二六号発明(昭和四四年九月二五日出願、昭和五〇年三月五日出願公告・昭和五一年六月三〇日設定登録。以下「本件発明」という。)の特許権者であるが、被告は、昭和五六年一一月二四日本件発明の特許無効の審判を請求し、昭和五六年審判第二三四一五号事件として審理された結果、昭和五九年六月四日、「特許第八一九八二六号発明の特許を無効とする。」との審決があり、その謄本は同月二七日原告に送達された。

2 本件発明の要旨

原動軸の回転に連動し一固定軸線の周囲に揺動する揺動腕に基部を揺動可能に連結し先端にルーパーを固定したルーパー軸と、ルーパー軸を軸線に沿つて摺動可能に支持する円〓状の軸駒と、軸駒を軸線の周囲に揺動可能にその円周面を支持しルーパー軸の揺動を許す切欠及び軸駒を軸線に沿い移動不能にする阻止部とを持つ支持体を備えたミシンのルーパー機構。

〔編註その二〕 被告の答弁は左のとおりである。

請求の原因1ないし4の事実は、すべて認める。

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